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わいわい通信

2015年11月01日

あるみ君の戦争法案反対闘争の「中間総括」を読んで

あるみ君の戦争法案反対闘争の「中間総括」を読んで
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 たたかうあるみ君が 9月末、自身のブログに 戦争法案反対闘争の中間総括を4回に分けて掲載しています。以下は それを読んだ私のコメントです。なお あるみ君の文章は 本人のブログで確認して下さい。

① あるみ君は 60年と今回の差を 「60年は…争点が『安保反対』なのか『強行採決けしからん』なのかが分からず」、今回は「安保法制は『戦争法案』で『違憲』であるにしぼり」と述べていますが それは運動の側が混乱したのではなく 条約と法律の違いで「自然」と生じたものです。つまり 法律は衆参2回の採決が必要ですが 条約は衆院1回の採決でOKなのです(30日後に自然成立)。だから60年の時は 衆議院の強行採決までは「安保反対」だったのが 採決後は「強行採決けしからん」というより「岸打倒」に「自然」に転じたということです。
 彼は「7月に衆議院を通過しても、参議院で必ず食い止めようと運動は止まらなかった」と述べていますが この点は60年も全く同じなのです。60年でも衆院採決後、それまでを倍する人が 街頭へ、国会へと繰り出しました。どちらも 衆院の強行採決で民意は踏みにじられ、議会制民主主義が機能しないことを知り 皆が「主権者」として登場したということだと思います。
 60年の第一次ブントが崩壊したのは 皆の安保反対の意思が継続できる大衆闘争として「次は何か」を出せなかったことだと思います。
 しかし 今回は 法案を実行させない(自衛隊を海外に出兵させない)闘いに継続しているだけでなく、継続させて行かねばならないということです。彼は「10か月は長い」と書いていますが、その通りで 皆の意思を維持するためには ある意味廃止法案の提出だろうと思います。しかし 軸は国会ではなく、街頭に移ったのです。だから 継続した大衆闘争・街頭闘争(大阪は毎月6日に闘争を設定)が必要なのです。水面下で参議院選挙の準備をすることは必要ですが 大衆闘争・街頭闘争を継続することが 皆の意思を解き放つことになるのです。
② そのために必要なことは 「戦争反対」の内実をはっきりさせることだと思います。「憲法違反だから反対」から「戦争そのものをしてはならない」への、「殺し殺される事態を絶対につくらせない」という意思への 飛躍だと思います。
 実際 SEALDsの集会での若者の多くの発言は 「戦争反対」でした。もちろん 徴兵制につながる=自分が戦争に行かされるから反対という発言もありましたが。そうした個人の利害からの発想にとどまるのではなく 戦争を必要とする社会の在り方そのものを問題にする立場への飛躍・移行が必要なのだと思います。
 今回の戦争法反対闘争では 「日本がアメリカと一体となって世界中で戦争しようとするものだ」と皆が声を大にしましたが なぜ日米はすぐに戦争が始められる戦争体制を作ろうとしているのか、日米の目的は何なのかは ほとんど聞けませんでした。引き起こされる状況説明とともに 何のために、つまり目的の説明が絶対必要だったと思います。
 彼は【その4】で「資本主義がクラッシュしかけている」と書いていますが それが実は根本原因なのです。貸付貨幣資本論や新自由主義論でこれまで述べましたが 産業資本に換わって貸付貨幣資本が資本の基軸になるためには ナオミ・クラインが『ショック・ドクトリン』で明らかにしたように 転換のためには暴力的強制が絶対的に必要なのです。そしてその体制・制度が一旦出来あがると 次々と国債発行で投入される追加貨幣で経済が回っているかのように見えるのですが(何とこれが30年間も続いたのです) 国債発行の限界に近づくと、再び暴力をもって自らの利益の確保と体制の維持に走り出します。金融資本間の争闘戦が いまや再び軍事の段階に突入しようとしているのです。本質的にも 貸付貨幣資本は 返済が拒否されたとき(不可能になったとき)倒産せざるをえないので 返済拒否を粉砕する軍事・暴力の裏付け・行使が絶対必要なのです。
③ 共産党の「国民連合政府」の呼びかけに対し 彼は「非常に厳しいと思う」が、「好意的に受け止められている」と述べていますが この呼びかけは 「主権者」として国会前へ、街頭へと繰り出した巨万の人々を 再び議会制の下(議員、つまり他人頼み)につなぎ止めておこうとするもので 間違っていると思います。また 彼の危惧は ほぼ間違ってはいないでしょう。
 集会・闘争では多くの議員が登壇し発言しましたが ほとんどが「応援して下さい」でした。「君たちの決起だけが阻止できるのです」とアジるべきだったのです。議会制が民意を反映せず、機能しなくなっているから民衆が決起していることが 議員には見えていないのです。皆の決起を鼓舞するために牛歩をしたのは 山本太郎議員一人でした。
④ 彼は最後に ブルジョア民主主義革命とプロレタリア民主主義革命の関係を述べていますが この客体的区別で運動=主体を展開するこれまでの発想(レーニンもそうですが)は間違っていると思います。そう問題を立てている限り どこかでブルジョア民主主義革命からプロレタリア民主主義革命への「強制転化」が必要になり その時民衆の意識からの乖離が生じると思います。また 客体的に問題を立てている限り、経験豊富な人の方が客体分析も優れているので 指導部絶対の官僚制を生み出すのではと思います。
 だから ブルジョア民主主義革命とプロレタリア民主主義革命とを貫く主体=民衆の「赤いベクトル」を見つけ出し それを宣伝・扇動していくことだと思います。それは 民衆自身の「自己決定権の行使」つまり「社会・生産の主人公として自らを押し出す」ことだと思います。かつての「沖縄奪還」から「沖縄(民衆)の自己決定権支持」に転換した考え方だと思います。
 SEALDsの中心的な人たちは 彼が指摘するように周りの「大人たち」の影響で確かにどちらを向いているのか分からない面がありますが 「民主主義とは何か?」のコールに続けて「これだ!」と唱和し、自らのデモを押しだしていました。ここに 自己決定権の行使につながる赤いベクトルを見いだそうではありませんか。



Posted by わいわい通信 at 00:03│Comments(5)
この記事へのコメント
 わいわい通信の松崎五郎氏の文章を見ると、「花山君」「落合君」「杉田君」「あるみ君」など、他人を君付けで呼ぶ表現が数多く出てきます。これなど私に言わせると、「上から目線で、先輩面をして教えをたれる」というような松崎五郎氏のスタンス・姿勢・態度が感じられ、文章全体の内容以前のところで気分が悪くなるのですが、こう感じるのは私だけでしょうか?

 それはさておき、現在おそらく編集中であろう展望17号で、「次は何か?」という問いに対する解答を、革共同再建協議会(関西派、塩川派)は、どういう内容で出すのか? 注目しています。落合薫論文がどうやら基調報告的な論文のようですが、骨のある内容になりそうですか? 公になってから、「落合薫論文を読んで」という文章を書くのもいいですが、松崎五郎さんは、草案段階の文章を事前に見せるよう要求し、いろいろ注文をつけたほうがよくないですか? 
Posted by 大井川 at 2015年11月02日 22:31
 コメントありがとう。気づくのが遅れ、返事が遅くなりました。
 「わいわい通信」は会話ではなく、書き物なので 近しい人は「君」と、面識のない人は「氏」とに区別しています。「氏」だとよそよそしく感じるからです。学生の頃は2、3才違うと「年の差」を感じましたが 3、40才を過ぎたら皆同じです。再建協は自立した共産主義者を目指しているので 組織内に上下関係はほとんどありません。
 今年、本当に何十年ぶりかに 若者が大挙して決起しました。その若者の集会に参加して私が思ったことは 「もはや私たちは過去の人だ」ということです。これから社会を変えるために闘う人は 私たち「過去の人」ではなく、若者たちなのです。「過去の人」の役割は「山のにぎわい」か「消え去るのみ」だと思っています。闘い方は 若者自身が考えるのであって 「過去の人」が指図するものではないと思っています。「仕切りたがる」老人を多々見受けますが それは新しい運動構築の妨害物になっていると思います。
 だから 「過去の人」が若者に残せるとしたら 名前ではなく、同じ誤りを繰り返えさせないための「失敗の教訓」ではないでしょうか。革命をいまだ実現できていないのですから あえて言えば「成功の教訓」など持ち合わせていないと思います。私はいまは「晩期マルクス」と考えていますが 始めたときからずっと(98年頃まで)「初期マルクスだ」と思っていました。それ故 74、5年以降の貸付貨幣資本(利子生み資本)が基軸になった資本主義を 分析・批判する視点をまったく持ち合わせていなかったのです。変革・打倒対象を分析・批判できなくて どうして革命などできるのかです。次の崩壊・破局は2、30年後と理解していたら 政治闘争はともかく(政治攻勢には直対応しなければダメなので)、組織作りの方策は違ったものになっていたと思います。私たちは ずっと「あす革命が起こる」という闘い方をしてきたのだと思います。いま再び「崩壊・破局」の時代が到来しつつあります。
Posted by わいわい通信わいわい通信 at 2015年11月08日 19:53
何故か記事の投稿を受け付けません。「投稿する」をクリックしても受け付けないのです。原因が分かり修理が終わるまで記事のアップは出来ませんので、申し訳ありません。
Posted by わいわい通信わいわい通信 at 2015年12月02日 11:37
12月がアップされないので病気かと心配しました。こういったことには几帳面なかただと理解していましたから。
早めの修復を期待しています。
Posted by 山名六十朗 at 2015年12月02日 20:05
新しいブログを立ち上げました
http://goromatuzaki123.blog.fc2.com/

12月号以降はこちらに来てください(^^)
Posted by わいわい通信」 at 2015年12月27日 13:49
 
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